灰類 / Ash
  灰類には天然の草木を焼いた灰から水簸によってアルカリ分を取り除いた天然灰と、その成分を化学的に分析し、合成した合成灰に分かれ、後者は安定した結果をもたらす一方で味気のないものになりがちでもある。石灰分を20-40%含むほか、アルカリ、燐酸、マグネシウムなどを含む。しかしその成分はその元となる草木によって異なり、目的によって使い分ける必要がある。 特に藁灰や籾灰は珪酸分が多くて溶けにくいため、媒溶材としてではなく、貫入防止や釉薬を乳濁させるために用いられる。

 柞(イス)灰は鉄分が少なく、特に染付けの磁器の透明釉の材料として古くから用いられてきた。楢灰はこれよりもやや鉄分が多く、織部釉などにも用いられた。鉄分の多い松灰や樫灰は薪窯で焼いたような、自然なビードロ状の色彩を生む。木灰は雑木灰で、その元となる木材によって鉄分の量などが多少異なる。土灰は雑木灰である点で木灰に近いが、もともと薪や炭を囲炉裏やかまどで焼いて残った灰を用いたものである。

 骨灰(Bone Ash)は動物の骨を焼いたもので、主に牛の骨が用いられ、鉄分が少なく燐酸分が多い。媒溶材であるとともに、釉を乳濁させる効果もある。また珪石とカオリンと混ぜたものを素地としてできたのがボーンチャイナである。石灰(Lime)は炭酸カルシウム(Calcite / Whiting)を主成分とし、白石灰と鼠石灰に分けられるが、成分にほとんど違いはなく、木灰と同じ目的で用いられる。

タルク / Talc
タルクは滑石とも呼ばれ、生のまま、あるいは一度焼成したものが用いられる。媒溶剤としてのほか、より多く加えるとマット釉になる。

炭酸鉛 / Lead Carbonate
炭酸鉛は鉛白または唐の土とも呼ばれ、釉薬の溶解温度を大きく下げる効果があるため、上絵の具や楽焼の釉薬に用いられている。ただし有毒であるために取り扱いに注意が必要であり、食器などには不向き。
炭酸バリウム / Barium Carbonate
炭酸バリウムは媒溶剤として働くほか、銅系統の釉薬の発色を鮮やかにするほか、青磁に加えると砧青磁のような発色を生む。天然のものが毒重石と呼ばれるように、毒性があるので注意が必要。
炭酸リチウム / Lithium Carbonate
炭酸リチウムは釉の光沢を増す効果があるほか、特にトルコ青釉の発色を助ける効果がある。
酸化亜鉛(亜鉛華) / Zinc Oxide
酸化亜鉛は亜鉛華とも呼ばれ、溶媒剤として用いられるほか、乳濁させる作用があり、より多く加えると結晶釉になる。
酸化チタン / Titanium Oxide
酸化チタンは他の乳濁剤よりも茶色みがかった色調になり、天然に産出するルチルには鉄分が含まれていることが多い。
ジルコニウム / Zirconium
ジルコニウムは乳濁剤として用いられるほか、マット釉にも使用される。乳濁剤としては最も安定していて、焼成の状態に影響されることが少ない一方、べたっとした、やや面白みに欠ける風合いになる。
炭酸ストロンチウム / Strontium Carbonate
炭酸ストロンチウムは石灰石と似た性質を持ち、媒溶剤として働く。
蛍石 / Fluorite
蛍石は900度前後という低い温度で溶解するため強い媒溶作用を持ち、低温釉に用いられる。また乳濁剤としても用いられるが、高温での焼成には不向きである。